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平成23年2月定例会(第5日目) 名簿
平成23年2月定例会(第5日目) 本文

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  1. 島根県議会 2011-02-05
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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成23年2月定例会(第5日目) 本文 2011-02-23 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 19 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長田原正居選択 2 : ◯佐々木雄三議員 選択 3 : ◯議長田原正居選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長田原正居選択 6 : ◯土木部長西野賢治選択 7 : ◯議長田原正居選択 8 : ◯絲原徳康議員 選択 9 : ◯議長田原正居選択 10 : ◯知事溝口善兵衛選択 11 : ◯議長田原正居選択 12 : ◯農林水産部長石垣英司選択 13 : ◯議長田原正居選択 14 : ◯商工労働部長小林淳一選択 15 : ◯議長田原正居選択 16 : ◯土木部長西野賢治選択 17 : ◯議長田原正居選択 18 : ◯教育長今井康雄選択 19 : ◯議長田原正居) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時3分開議 ◯議長田原正居) おはようございます。  これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  昨日に引き続き一般質問を行います。  佐々木議員。  〔佐々木雄三議員登壇、拍手〕 2: ◯佐々木雄三議員 おはようございます。一般質問を行います。  今回は、斐伊川・神戸川治水事業、この1点につきまして知事土木部長の答弁をお願いをいたしたいと思います。  古代中国においては、「水を治める者は天下を治める」ということわざも生まれるほどに、治水国家政策の深刻かつ重要な部分を占めておりました。紀元前256年に蜀の大守に任じられた李冰によって四川省成都市近郊灌県流れ岷江に建設された都江堰は、とりわけ有名な治水事業であります。  都江堰は、四川省灌県内、岷江の中流にあり、戦国時代末期、秦の昭王の晩年につくられたものであります。古名を灌堰といい、また都安堰とも呼ばれ、後に都江堰と言われるようになった2200年以上前につくられた大規模な水利施設であります。  岷江は、その上流において多くの川を一つに集め、急な流れとなり、大量の土砂を運んで平原に至り、河床をふさいで頻繁に災いをなしていたのです。そこで、李冰は水害を水利に変えるため、四川省西部においては、西北が高く、東南が低いという地勢に基づき、勤労人民を率いて玉塁山を開削して水を引き、良田を潤しました。  岷江の河心に流れを分ける堤を築き、その前端を分水魚嘴として岷江を内江と外江の2つに分け、外江岷江の本流であり、灌県、楽山を経て岷江に注ぐ全長700キロ余りであります。  内江は、人工水路宝瓶口を経て成都平原流れ込みます。泥流と洪水が内江に流れ込まないようにするため、分水堤の中段に飛沙堰をつくり、泥砂と洪水を自動的に外江に導き、内江の流量を有効に制御することによって、科学的に排水かんがいが確保されたばかりでなく、災害も避けられるようになりました。  漢代の歴史学者司馬遷は、史記の中で、「李冰は離推をうがち、沫水の害を避け、二江を成都の中に貫く云々」と、最古の記載を残しています。  また、「華陽国志」の中で、李冰都江堰をつくり上げたことを大いにたたえ、四川省西部平原をして「日照りに当たっては水を引いて潤し、雨に当たっては水門をふさぎ、水旱は水に従い、飢饉を知らず、時に荒れた年はなく、天下はこれを天賦というなり」と述べ、中国古代勤労人民が大自然と闘った豊かな成果を記しています。  歴代の勤労人民は、都江堰に対する手入れを通じ、科学的な治水の経験をまとめ上げてきましたが、例えば「砂州を深く掘り下げ、堤を低くつくる」、「河道が曲がっているところは角を取り、真っすぐなところは中心を除く」、「勢いに乗じて有利に導き、時に基づいて適宜に取り計らう」や、治水の「三字経」などであり、これらは都江堰の施設が何年たてども損壊しないできたことの根本であると言えましょう。  都江堰工事の特徴は、その地をよりどころに材料を取りそろえ、無駄を省いて大きな効果を上げるというものでした。さく、かご、石土手をつくり、流水を分かち、岸を守り、かんがいや洪水の排除を確保した、これは中国古代の人民の知恵と才能を反映するものでありました。  この大事業を取り仕切った李冰とその息子李二郎を記念した二王廟が玉塁山のふもと岷江のほとりにあります。
     正殿にある李冰の座像は、手に絹の図面──設計図であろうと思いますが──を持ち、一点を見詰め、思いを凝らし、あたかも治水の成果が胸のうちにあるかのごとくでありました。後殿の息子二郎は、手に工具を持ち、英姿はつらつとして、いかにも山を切り開き、堰堤を築いているように見えました。  このときの私の訪中は、都江堰治水工事に係る希有壮大なロマンの地を訪れることとそこにある「飲水思源」と刻まれた石碑を見ることでありました。  今から2200年以上前に、壮大な河川工事に取り組んだ中国人民の情熱と勇気、すぐれた才能のすばらしさとその先人の偉業に対し、子々孫々の人たちが常に敬愛を惜しまない姿に中国人民のすばらしさを感じることができました。  高さ5メートルを超える大きな石碑に「水を飲むときにはその源を思いなさい」、飲水思源という言葉、特に源とは、まさに都江堰の水利工事にかかわった李冰・李二郎親子を始め、多くの先人たちでありましょう。そしてまた、先人たちの犠牲、努力、汗、情熱ででき上がった後世の人たちの幸せ、安心、平和、そのことを常に胸に抱いて生活をすることの大切さを伝える石碑の前に立ち、感動を覚えたのであります。  岷江の悠久の流れを眼下に眺めながら、古代の荘厳な国づくりのロマンに思いをはせ、今は観光の名勝となっている都江堰の離推公園で楽しく遊ぶ子どもたちの姿を重ね合わせ、歴史の重さをつくづく感じました。  斐伊川・神戸川治水事業も長い歴史を踏まえ、今日を迎えています。私自身、この事業とのかかわり、それは斐伊川・神戸川の合流は絶対反対という立場でございました。あくまでも神戸川の単独改修をすべきという立場でありました。合流反対のむしろ旗をつくり、説明会の会場である出雲市の体育館で林立させたのが私の仕事であり、この事業とのかかわりのスタートでありました。その後、さまざまな経過をたどり、県議会議員として地域の皆様と将来の地域の安心を確保するために、また地域の発展のために話し合いを続け、この事業の必要性を共有し、基本的合意という展開になりました。  昭和57年9月1日の合意6条件は、どんなことがあっても守らなければならない事柄であると認識をいたしております。この事業にかかわった多くの先人たちに思いをはせるとき、今ある私たちの責務であると考えております。  斐伊川・神戸川の治水に関する基本計画の合意に当たって付した6項目の条件とは、すなわち、1つ、本治水計画については関係住民の理解と協力を願い、説得に努めてきたところであるが、全面的な了解を得るには至らなかったので、今後実施に当たっては関係住民の意向を十分尊重して進められたい。2つ目、放水路工事が完成した場合においても、基本計画に基づく両河川上流部におけるダム工事及び下流部における大橋川拡幅工事が完了しない限り、放水路へは分水しないものであること。ただし、大橋川拡幅工事中であっても、重大な災害を及ぼすおそれのあるときは別途協議する。3つ目、本治水計画の実施は、基本構想、基本計画及び基本計画具体案に至った経緯を尊重し、本市のこれまでの質疑・要望事項等に対する回答はすべて遵守されたい。4つ目、地域開発計画については、本市及び関係地域の要望、意見を積極的に聞き、その実現を期し、治水事業と並行して実施されたい。5つ目、関係住民の生活再建については特に慎重に意を用い、その意思を十分尊重し、誠意を持って対処されたい。6つ目、実施測量等の調査、用地買収及び補償等の交渉は、建設省並びに島根県において対処されたいということであります。  そこで、知事にまずお尋ねをいたしたいと思います。  斐伊川・神戸川治水事業、この事業に対する知事の取り組み姿勢、思いをまずお聞かせをいただきたいと思います。  そして、基本計画への出雲市の同意条件に対する知事の考え方をお聞かせをいただきたいと思います。  放水路工事が完成に近づくにつれ、下流域住民の中には不安にさいなまれると言われる古老がおられます。分水が実行される可能性が高くなる中で、新内藤川、赤川、午頭川のいわゆる内水排除の工事が遅々として進まない現状、約束したにもかかわらず、そういった現状が今もなお残っておる、まさにこれを憂いた発言であると、私は考えます。  そこで、住民の皆さんに一日も早く安心感を与えるはっきりとした計画を御答弁をいただきたいと思います。  土木部長にお尋ねします。  さまざまな地域開発が出雲市で今検討されております。グリーンステップの利活用を始め、記念館の問題とか、さまざま各地区における話し合いの中で、出雲市と県と国交省の中で話し合いがなされて具体的な要望が出ております。そうした事柄に対しての現在の検討状況、これをお聞かせをまずいただきたいと思います。以上でございます。(拍手) 3: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 佐々木議員の御質問にお答えを申し上げます。  最初は、斐伊川・神戸川治水事業に対する私の取り組み姿勢、そして過去の長い歴史にかんがみ、私の思いはどうかという御質問であります。  議員は、中国の2200年前、四川成都の都江堰をめぐる蜀の李冰・李二郎親子による分流の工事を引かれ、洪水の排除とかんがい排水2つを達成をしておると、そして四川における発展の基礎をつくったというお話を紹介をしていただいたわけです。  私も「飲水思源」という言葉は知っておりましたが、その背後にこうした歴史があったということは、今の御紹介で知ったような次第でありますが、大変参考になった次第であります。  この都江堰を思いながら、やはり同様に長い歴史を持ってます斐伊川・神戸川のことを振り返ってみますと、斐伊川・神戸川は島根県東部の人口集積地を貫流する二大河川であります。この地の発展のためにその治水ということは大変重要な課題であるわけであります。  古く「風土記」の時代には、斐伊川と神戸川は広大な出雲平野を土砂で形成しながら、ともに西に流れ、現在の神西湖から日本海へ注いでいたと言われております。その後、1630年代の大洪水をきっかけとして、斐伊川は流れを東向けに変え、以降、宍道湖周辺も含め、治水対策が歴代の為政者の大きな課題になったというふうに聞いておるところであります。  しかし、この洪水の排除ということは容易でありませんで、近代になりましても斐伊川・神戸川周辺地域では、幾多の洪水によりまして多くの生命、財産が失われてきた歴史があるわけであります。とりわけ昭和47年7月の豪雨災害におきましては、甚大な被害が出たと承知をしてます。死者が12名、家屋全半壊が114戸、浸水家屋は2万5,000戸に及んで、宍道湖沿岸70平方キロメートルが1週間以上の浸水となったと。また出雲空港も10日間閉鎖をされたというようなことがあったという記録があります。  この災害を契機としまして、昭和50年に斐伊川・神戸川治水に関する基本計画が策定されることになるわけでございます。その際に、上流のダム、中流の分水、そして下流大橋川の改修、この3点セットが議論をされたわけでございます。この計画について、地元の方々の同意を得ることは大変難しかったということは議員の御紹介、御指摘のとおりであります。  しかし、合意がなりまして、この際の同意の条件については後でお答え申し上げますが、この3つの一つが欠けても十分な治水機能が発揮できないというものでありまして、住民の生命、財産を守るため、歴代の知事はこの3点セットに基づく治水のために全力を挙げてきたわけであります。私も先輩の方々の後を受けまして、この斐伊川・神戸川治水事業に全力を挙げてきておるわけであります。  平成19年に私が知事に就任したときにおきましては、上流のダムの竣工が始まることになりました。それまでいろんな準備の作業をし、2つのダムをコンクリートで完成させるということが始まるときでありまして、そして中流部におきましては、この分水堰の工事が進行し、神戸川の整備も進行しつつあると。しかし3点目の大橋川の改修事業は着手をされない状況が続いておったわけであります。その一つは、鳥取県との間で、大橋川の改修につきましては、3つの条件を実現をしなければならないということがあったわけであります。  1つは、環境の調査。水質等の環境の調査をちゃんと実施をする。そして、2つ目には、本庄工区の森山堤防の開削をきちっとやる。そして、中海護岸の早期整備を行うと、この3つの条件が整って鳥取県が了解をしないと、大橋川の改修には着手はできないということがこれまでの経緯であったわけでありまして、私は環境調査を行うように国に要請をし、そして地元の皆さん、あるいは漁業組合の方々とどのような調査をするかといったような相談をし、環境調査を実施するということが決まったわけであります。  それから、本庄工区の森山堤防につきましては、これはやはり長い間、農水省等との交渉を経まして、また工事が進みまして21年5月に森山堤防60メートルの開削が終わり、それをまたぐ橋もできたわけであります。  3番目の中海護岸の早期整備におきましては、これは国はいろんな機関が護岸の責任があったわけでありますけども、国に対しまして、特に国交省に対しまして、護岸の整備を私どもも早くやるべきだということを随分申し入れてきたわけでございまして、21年11月に中海護岸等整備促進協議会で中海護岸整備計画は了承されるということでございまして、この過程におきましても、鳥取県の中ではいろんな意見がございまして、その計画でいいのかということもいろいろありましたが、最終的には了解をされたと。その結果、3条件がなるところになりまして、21年12月に私が鳥取市のほうに出向きまして、平井鳥取県知事との間で大橋川改修事業の着手に同意を得たところであります。  また、斐伊川水系河川整備計画の策定に当たりましては、環境や水資源への配慮、放水路分水の取り扱い等につきまして、県、市町の意見を尊重しつつ、国交省に意見を申し入れてきておるわけでございます。  これまで長い間、取り組まれました斐伊川・神戸川治水事業におきまして現状を見てみますと、こういう状況ではないかと思います。  上流部におきましては、志津見ダム、尾原ダムが今年度末には完成をすることとなります。そして、中流部の斐伊川放水路事業につきましては、平成20年代の前半に完成をするよう努力が続けられてると。そして下流部におきましては、大橋川改修事業につきまして、現在ではくにびき大橋より下流の北岸地域から工事を始めようということで、地元の皆さん、漁業組合の皆さんとも調整をしておるところでございまして、本年6月ごろに着手ができそうな状況になっておるわけでございます。  いずれにしましても、この斐伊川・神戸川治水事業、長い歴史があります。これまでに先祖伝来の貴重な土地の提供、あるいは家屋移転に協力をしていただいた地権者を始め流域住民の方々、関係自治体、関係機関などの多大な御理解と御協力により、事業の進捗が図られたことに対しまして、心より感謝申し上げる次第であります。  県といたしましても、一日も早く流域全体の安全・安心を確保するため、引き続き国、流域市町との連携を図り、地元住民の方々や関係機関などの意見をよく聞きながら、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えているところであります。  次に、出雲市との同意条件についての考え方を問うという御質問であります。  6項目の同意条件の内容は議員が御紹介されたとおりでありますが、昭和57年9月に出雲市が斐伊川・神戸川治水に関する基本計画に同意された際、その6項目の同意条件が付されておるわけであります。  この斐伊川・神戸川治水事業というのは、国の直轄事業でございますけども、当時の関係者などからお聞きをしますと、地元の説得、理解を得るということにつきまして、国のほうも十分対応できないという事態があり、県が出雲市との間の話し合いの前面に立って、この同意条件を形成をして同意をいただいたということでございます。そういう意味におきまして、国もその同意条件には了解をされておるわけでございます。したがいまして、この同意条件につきましては、その趣旨を十分に万全な対応をしてまいらなければならないというふうに県として考えてるとこでございまして、誠意を持って対処してきておるところであります。  それから、その中身でありますけども、同意条件の中に、議員も紹介されたわけでありますけども、分水の時期についての同意があります。放水路完成後もダム、大橋川拡幅工事が完了しない限り放水路へは分水しない、ただし大橋川拡幅工事中であって、重大な災害を及ぼすおそれのあるときは、別途協議するという条項が入ってるわけでございます。  そういう意味におきまして、大橋川の工事につきまして着手はし得る状況は、鳥取県との間では形成をされておって進んでおるわけでございますが、現時点ではまだ着手に至ってないわけであります。したがいまして、私どもとしては、この57年の同意条件につきましては、その趣旨を尊重し、引き続き国、県、市で協力しながら、誠意を持って対応するということで三者で確認をし、分水協議を進めるようにしておりますのは、やはり流域住民の安全・安心の確保から、放水路が完成した後は速やかに分水することが重要であるという判断から、昨年の9月に出雲市へ分水の取り扱いについて、先ほど申し上げました同意条件のただし書きに基づく協議をお願いをしたということでございます。そういう意味におきまして、ただし書きにおけるお願いをしてる状況にあるということをよく認識をして対応しなければならないと考えておるところであります。  そこで、この分水協議の問題につきましては、昨年の12月から開催をされております地元説明会で出された要望、意見等につきまして、私どもいただいとるわけでありますけども、現在出雲市が確認整理を行ってる状況にあります。これらの要望、意見等につきましては、今後国、県、市で協議をよく行い、それぞれの責任において引き続き誠意を持って対処をしていく考えであります。  それから、3番目の質問でありますが、それに関連しますが、放水路事業に関連する新内藤川流域の河川整備はどのように進めるのかという質問であります。  新内藤川流域は、そのほとんどが市街地や水田であります。土地も低く、たびたび浸水被害に見舞われる水害常襲地帯であります。昭和47年の災害を契機としまして市街化が進展をし、整備がおくれている新内藤川、赤川をこれまで重点的に整備促進はしておるわけでありますけども、議員御指摘のように必ずしも十分進んでるわけではありません。  そこで、国による斐伊川水系河川整備計画の策定に合わせ、県管理河川につきましては、平成20年10月に斐伊川水系新内藤川流域河川整備計画を策定したところであります。  整備計画は、おおむね今後30年間に新内藤川、赤川、塩冶赤川、午頭川の整備につきまして定めておるわけでございます。整備計画のうち、今後10年間に集中的に予算を投ずる事業計画を策定し、近年最も被害が大きかった平成9年と同じ程度の雨が降っても家屋浸水が発生しないよう、その解消に取り組む考えであります。10年間の事業計画につきましては、出雲市や地元の要望をよく反映をいたしまして、できるだけ早期に地元の皆さんにお示しをしたいと考えているところであります。  また、出雲市の中心市街地を流れる河川の拡幅工事でありまして、多額の費用が必要となります。引き続き国に対しましては、強く支援を要望してまいりたいというふうに思っております。いわば国の直轄事業で進められております斐伊川・神戸川治水事業の一環であるという考えでございまして、国にもしっかり要望しながら事業を円滑に進めるよう、県としても最大限の努力をしていきたいというふうに考えているところであります。以上であります。 5: ◯議長田原正居) 西野土木部長。  〔西野土木部長登壇〕 6: ◯土木部長西野賢治) 私のほうからは、斐伊川・神戸川治水事業関連に関するその周辺整備事業の状況について御答弁申し上げます。  これまでの経緯の中でさまざまな周辺整備事業について国、県、市でどういうふうに行っていくかというふうな検討を進めてまいりました。  まず、グリーンステップにつきましては、斐伊川放水路事業によって発生する残土の処理、これ約1,200万立方メートルという膨大な残土の処理を行う処理場として、放水路事業の推進に不可欠なもんであると、そういったことで地元の方、多くの関係者の御理解を得てグリーンステップという処理場で事業があったからこそ進められたというふうなことでございます。地元の関係者の御理解と御協力に改めて感謝申し上げます。  そちらのほうの完成後の利活用につきましては、これまでさまざまな計画、公園整備などさまざまな計画が出雲市を始め、関係者で検討してまいったとこでございますけれども、景気の悪化など社会情勢の変化や出雲ドーム約20個分に当たる37ヘクタールもの広大な土地であること、また活用計画によってはその内容に応じたインフラ整備や地盤改良等が必要であることなどなどから、現段階では具体的な計画には至っていない状況でございます。今後、出雲市等の関係者の意見を聞きながら、関係部局ともよく協議し、具体的な利活用策を検討してまいりたいと考えてるとこでございます。  また、そのほかにも菅沢地区のコミュニティー施設とか、カヌーの艇庫、水防センターとか、さまざまな周辺整備事業についての状況でございますけども、それぞれその熟度に応じた検討を行ってると、例えば菅沢地区コミュニティー施設につきましては、来年度、出雲市がその設計に着手するというようなことで、県としても補助で支援をするというふうなことなど、さまざまな進捗状況にあるというようなことでございます。  いずれの事業につきましても、これまでの経緯において地元との話し合いなんかで、現在その履行状況がどうなってるんかというようなことを精査をして、今後どういったこと、どういったものをどういう手法で行うのかというようなことを国、県、市で協議の上、連携をとりながら、それぞれの責任において誠意を持って対処してまいりたいと考えてるところでございますので、よろしくお願いします。  私からは以上でございます。 7: ◯議長田原正居) 絲原議員。  〔絲原徳康議員登壇、拍手〕 8: ◯絲原徳康議員 自民党議員連盟の絲原徳康でございます。一般質問もラストバッターとなりました。知事、教育長、関係部長の誠意ある答弁をお願いをいたします。  本年は、うさぎ年であります。我が国の政治経済は混迷に陥り、国民の多くが閉塞感にとらわれ、将来の展望を見出し得ない状況の中、「鳶目兎耳」ということわざにあるように、トビのように高所からめざとく見、ウサギのように耳をそばだてて広く正確な情報の収集に努めると同時に、不退転の決意でもって決断することを恐れない姿勢を持つ本物のリーダーシップが今まさに求められているのではないでしょうか。また、「ウサギの上り坂」という言葉があります。持ち前の力を振るうことができて物事が早く進む例えであります。こうしたうさぎ年である本年、日本、そして島根が大きく飛躍する大切な1年になることを期待をいたしております。  それでは、あらかじめ通告しております項目に沿って質問をいたしますので、よろしくお願いをいたします。  まず、道路整備について伺います。  この冬の積雪は、48年前の38豪雪以来の記録的な大雪となり、特に大みそかから元旦にかけて降った雪は、松江市の半島部の数日間にわたる孤立化を始め、安来市や中海地域などの農林水産業を始め多方面にわたり、大きな被害をもたらしました。被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。  私は、中国山地の山合いの出身でございますので、雪にはある程度なれておりますが、ことしの積雪量は例年をはるかに上回るもので、屋根の雪おろしも既に3回行ったところであります。  ところで、年頭の数日間は、松江市内を始め周辺各地域において除雪体制が整わず、市民生活のみならず、観光客やホテル、旅館のキャンセルなど、さまざまな面において大きな影響を与えました。その大きな要因の一つに、1年半前に実施された総選挙の結果による政権交代、すなわち民主党政権によるコンクリートから人へという何とも耳に響きのよいキャッチフレーズのもとに実施された公共事業の問答無用の削減、ひいては地方切り捨ての政策であります。このような政策によって、地方の多くの建設業者が廃業を余儀なくされたあおりを受け、借り上げできる除雪車両及びそのオペレーターが大幅に減少したものと考えられます。  我が国の平成22年度予算において、公共事業関係予算は対前年度比18.3%の大幅な削減がなされました。さらに、来年度予算でも対今年度比、実質5.1%の削減となっており、その総額は5兆4,799億円、かつての10兆円規模からはほぼ半減をいたしました。こうした方針の背景にあるのは、莫大な血税を投入して行われる公共事業の多くは無駄であるという考え方にあります。しかし、我が国の公共事業は、今本当にもう不必要なのでしょうか。  藤井聡京都大学教授は、「公共事業が日本を救う」という著書の中で、さまざまな事実やデータにより公共事業の必要性を指摘され、デフレ経済の真っただ中にいる今日、経済効果の大きさの点からも、雇用創出効果の点からも、公共事業を強力に推進することが日本を救う手だてなのだと言っておられます。  知事は、かねてより道路などの社会資本整備がおくれている地域には、十分な配慮がなされなければならないとさまざまな働きかけを行ってきておられますが、改めて現政権のコンクリートから人へという理念についてのお考えをお聞かせください。  さて、私も我が国の今日の厳しい財政状況は十分に認識しておりますが、中山間地域に暮らす者にとって、やはり一番に生活基盤整備をしてほしいものは道路であります。  私の出身地奥出雲町では、複数の県、広島県、鳥取県と境を接している町でございます。そこには陰陽連絡道である国道が2路線、主要地方道が5路線、一般県道が9路線の合計16路線があります。そのうち県境に接しているものは7路線であります。数の上からも、またその改良率から見ても、県下でも恵まれている地域かとは存じます。しかしながら、県境部分が整備されてるのは7路線中3路線であります。  さらなる地域間交流の強化、拡大を図るためには、県境区間の整備は急務かつ不可欠であります。とりわけ、鳥取県日南町とは古くからの婚姻関係などを通じ、相互の往来が多く、現在でも日南町から奥出雲町の医療機関への年間受診者数は約300名、日南町民の奥出雲町での年間購買者数推計は3万4,000名、県立横田高校への通学者12名など、医療や経済、教育等、日常生活全般にわたって深いつながりを持っております。しかし、最短の県道は地形が急峻ということで、その県境付近はいまだ整備されておらず、相互間交流の大きな妨げとなっております。また、自動車専用道へのアクセス道ともなる路線でもあります。  このように沿線地域住民の生活道としてはもとより、観光ルートとしても地域経済に果たす役割は極めて大きく、その整備は地域の活性化と定住促進にとって必要不可欠なものであると思われます。  県では、諸情勢が大変厳しい中、計画的、効率的かつ総合的な道路網の整備を進めておられますが、相乗効果が極めて大きい県境付近の道路の整備について、今後どのように取り組んでいかれるか、お聞かせください。  また、島根県冬期道路情報によって除雪状況を始め、さまざまな道路情報がインターネットや携帯電話でいち早く得られるということは、積雪地帯に住む私たちにとって大変心強くありがたく思っております。その一方で、冬期間の県道閉鎖区間が24路線もあると聞き及びます。道路は住民の生活の道、定住の道であるとともに、命を守るための道でもあります。  危険箇所は、十分に把握されているとは思いますが、これからの季節に心配される雪崩対策について伺います。  最後に、いま一つ道路案内についてお伺いをいたします。  近年のカーナビゲーションの普及は目覚ましいものがあり、電話番号を打ち込めばたちどころに登録してある目的地までの数種の経路、時間を表示してくれます。しかし、中にはその経路案内が不完全なものも見受けられます。  昨年、遠方の友人が、私が関係しております施設をナビ設定して松江から来る際、通常1時間余りのところを倍ぐらいかかってやってきました。その原因は、普通私たちが利用しない狭い道路を案内したからであります。また、高速道のサービスエリアで配布されてるエリアガイドの案内図にも、国道という表示だけで、実際はまだ未改修部分がある狭い道路が立派な太線で表示をされたりしています。これではせっかくはるばる訪ねてくださる観光客にもよい印象は持たれません。  観光立県を目指す上で最も大切なことは、ドライバーにとって心のこもった優しい、そして現状に則したホットな確実な情報を提供をしていただくことであります。この点について、関係機関から発信されんことを望みますが、お考えをお聞かせください。  次に、たたらを中心とした文化観光施策について伺います。  周知のごとく、4年前の平成19年、2007年、溝口知事就任早々の大仕事が非常に厳しい状況と言われた石見銀山の世界遺産への登録でした。すぐには無理であろうと言われた登録が一転、指定に至ったのは、知事の手腕と人脈の広さによるものであったことは今日でも記憶に新しいところであります。  しかし、登録から4年目に入ろうとする昨今、世界遺産ブームも一段落し、その中核をなす大森町への入り込み客数がピーク時の平成20年、2008年の年間約81万人から昨年には51万人へと30万人、率にして37%も減少をしております。これは熱しやすく冷めやすいと言われる我が国の国民性によるところもあるかもしれませんが、登録指定当時のインフラ、アクセス等の整備が観光地として十分であったかどうか議論の分かれるところであります。  ところで、知事は今年度から平成24年の古事記編さん1300年、平成25年の出雲大社平成の大遷宮にあわせ、神話のふるさと「島根」推進事業という新たな観光施策をスタートをされております。出雲神話の発祥の地とされる鳥髪山と斐伊川を持つ地域の選出議員である私にとって、これは郷土をより多くの皆様方に知っていただく絶好の機会として、非常に喜ばしく思っております。  さて、我が田に水を引くようで恐縮ではございますが、この神話の発祥の地奥出雲町には、いま一つ世界に誇り得る歴史的産業遺産があります。それはその起源が約1500年前とされる我が国固有の砂鉄製錬法による古式製鉄「たたら」であります。  たたらの2大原料は木炭と砂鉄ですが、その木炭を得るための森林は、30年周期で循環利用され、また近世においては、砂鉄を得るために鉄穴流しを行いましたが、この砂鉄採取の跡地の山林は、田畑あるいは集落地として再利用されてきました。こうした工業分野における林野の再利用法は、世界的にも類例がなく、まさに現代社会で求められてる環境に優しいリサイクルの原点とも言うべきものであります。  ところで、古式にのっとったたたら吹き操業は、一時期途絶えておりましたが、さきの大戦中、奥出雲町にあった旧靖国鈩跡に昭和52年、1977年、文化庁の協力を得て財団法人日本美術刀剣保存協会の手で日刀保たたらとして復活をいたしました。そして、ことしも1月19日に火入れ式が行われ、古代からのロマンを秘めたぐれんの炎とゴーゴーというふいごの音とともに、この雪の季節に3回ほど操業を行い、全国の刀匠に世界に冠たる日本美術刀剣の材料である玉鋼を供給をしております。  さて、我が国の物づくりの原点とも言うべきこのたたら操業は、現在非常に各方面の注目を浴びており、先年来、我が国を代表する企業の視察団が相次いで訪れております。また、たたら製鉄は、100から150年前の江戸時代末期から明治時代中期にかけては出雲国がその中心地で、我が国の鉄生産量の実に60から70%を産出していました。特に幕末期においては、逼迫した松江藩財政立て直しの原動力の一つともなり、明治新国家の黎明期においても、日清戦争前後までは産業の礎となる優秀な鉄の主生産地として、その発展を支えてきました。その後は、八幡・釜石両製鉄所を始めとする洋式製鉄にその役割を譲りましたが、世界に誇るその足跡は生産の中心地であった奥出雲町や雲南市、集積地であった安来市などに現在でも多数残されております。  この3市町──旧1市4町1村では、今から24年前の昭和62年に、当時の自治省関連事業、いわゆるリーディングプロジェクトとして、たたらに関する諸施設が整備されるとともに、鉄の道文化圏推進協議会を組織し、現在も協力して種々の事業や広報活動を行っておられます。ただ、それらは当時新設された施設が主体であり、かつ公的なものが中心です。  しかし、この地域には、その他古くからあった製鉄の守護神を祭ったり、安全を祈願する神社、原料の砂鉄を採取する鉄穴流し場、たたらの本工場である高殿など、かつてのたたらの息吹を感じさせる施設が多数ありますが、それらは余り含まれておりません。  また、何といっても先ほど申し上げました日刀保たたらが古式そのままに操業を行い、その伝統を地元の学童が受け継ぎ、共同学習として毎年小規模たたらの操業を行っております。  そして、奥出雲町の鳥取県境龍ノ駒には、まだ発掘調査が行われていない近世の大規模な附属施設を持つ、たたら工場遺跡もあります。これを発掘、公開、保存し、その他とあわせ見ることができるようにするならば、先人の知恵と苦労の結晶として、この地で栄えたたたらの全容が明らかとなり、産業遺産施設としてのみではなく、文化観光施設としても十分に価値があり、見学者に必ずや大きな感動と感激を与えるものだと思います。  また、新聞にも掲載されておりましたように、去る20日には松江市において、文化審議会世界文化遺産特別委員会委員や石見銀山世界遺産アドバイザーも務められた国立科学博物館理工学研究部グループ長で、たたら製鉄は島根が持つもう一つの世界遺産候補という持論を提唱されている鈴木一義先生ほかを招き、たたらの歴史的、世界的な価値を再検証し、世界遺産登録に向けた機運を盛り上げる新たな取り組み方を考えるシンポジウムも開催されました。  このような状況下にある今日、私はこの議場に籍を置く一議員としても、藩政期から大正期にかけ、たたら製鉄を行っていた者の子孫としても、県当局におかれましては、前述したたたらの関連地を整備、ルート化するとともに、世界遺産登録指定準備も含め、もっと広く情報発信に努めてくださるように願うところであります。  また、現在、中海圏地域などでは、お隣の鳥取県と県境を越えた観光ルートの設定、広報等共同歩調をとっておられます。たたら製鉄も奥出雲町と境を接する伯耆や備後の国、すなわち鳥取、広島県でも盛んに行われ、現在鳥取県日野町では、このたたらによるまちおこしを企画され、これを素材とした小説の出版や映像化の予定などに積極的に取り組んでおられます。  たたら遺構の多くが現代社会において生活していくのに非常に厳しい環境下にある中山間地域にある点も考慮され、島根県単体としてではなく、隣県とも一体化を図られ、この中山間地域全体の地域おこしの起爆剤として活用されんことを要望いたします。  最後に、いま一つ島根の鉱物資源として忘れてならないものに銅があります。出雲地方には、神話の世界との関連に夢を抱かせる日本最大の出土数を誇り、国宝に指定されてる銅剣の荒神谷、銅鐸の加茂岩倉の両遺跡があります。また、津和野町を始めとする石見地域では、近年までは銅も盛んに採掘され、その経営者の広壮な家屋敷の一部も公開されております。  銀と鉄については、既に観光連盟を中心として幾つかの連携した企画が実施されていますが、これにさらに銅も加えて「銀と鉄・銅の国しまね」として、太平洋側の工場コンビナートに対し、この東西に細長い県域全体をカバーする鉱業コンビナート──この鉱はかねへんの鉱であります──として位置づけられ、新たな滞在型観光コースとして売り出されることを望むものであります。  そこで、3点についてお尋ねいたします。  まず、私が申し述べましたたたら製鉄についての評価を含めて、地域活性化の資源として活用することについて、知事の御所見を伺います。  第2に、地元を中心に盛り上がりつつある世界遺産登録への準備を含めた情報発信について、県みずから取り組む考えはないか、教育長に伺います。  第3に、たたらや銅などの観光資源を生かして、広域観光の取り組みを推進する考えはないか、商工労働部長にお伺いをいたします。
     最後に、森林、林業、木材産業について伺います。  いろいろな人に森林という言葉からイメージするものを聞きますと、緑豊かな自然や壮大に連なる山々など、外から眺める景色をイメージする人が多いように思います。その森林は、一本一本の木を植えて育て上げる世代を超えた営みによるものであり、その営みにはぐくまれた豊かな資源を有効に活用しながら、次の世代に継承しなければならないのでありますが、残念ながら今を生きる私たちはそうした思いを忘れがちであります。  ことしは森林の持続可能な経営、保全の重要性に対する認識を高めることを目的に、国連が定めた国際森林年であります。我が国を始め世界じゅうで、もちろん島根においてもこうした機会をとらえて、森林の役割や林業、木材産業が地域経済に及ぼす効果を再認識する必要があります。  今、TPPに臨む我が国の基本的なスタンスが問われています。原木丸太については、これまでに輸入自由化で関税が撤廃され、海外から安い木材が大量に輸入されたことから、木材自給率は低下の一途をたどり、平成12年には約18%まで落ち込みました。国内の林業、木材産業は不況に陥り、県内でも多くの事業体が廃業を余儀なくされました。中山間地域の活力が失われた大きな要因とも言えます。  最近は、県内の合板工場において杉材の消費量が急増し、木材の生産段階あるいは製材、チップなどの加工段階で意欲的に設備投資が行われるなど、林業、木材産業に力強い動きも見られます。しかし、森林に対する国民の期待や関心は、地球温暖化を防止する機能を始め、環境面に集中してるように感じます。木を植えて育てる過程で不可欠である間伐は、むしろ森林による二酸化炭素の吸収量を確保するための作業であることをもって重要と考えられるようになりました。  私は、島根の林業、木材産業をこのように環境の一面だけから見ると、これまでの長年の投資により育ててきた森林資源の真の価値やその資源を生かす産業の地域における役割を見失うのではないかと懸念をしております。非常に困難な経営環境を乗り越え、地域の資源と雇用を守るべく頑張っている林業、木材産業を経済、雇用の面で正しく評価し、産業活力を引き出し伸ばす取り組みが必要と考えます。先ほど佐々木議員が「飲水思源」という言葉をお使いになりましたが、厳しい環境下、必死になって上流部、源を守っております。  知事は、どのような期待を持って林業、木材産業対策に取り組まれるのか、お伺いをいたします。  次に、木材の需要拡大と供給体制の強化についてであります。  最も魅力ある木材の需要先は、加工することによってより大きな付加価値を生み出す建築分野であります。木造建築は地域のさまざまな業種がかかわる仕事であり、平成21年度の県内の建築分野の建設投資額は、近年小さくなったとはいえ、民間部門で約670億円、公共部門で約400億円、合計1,070億円に上っています。建築物は、特に意識することなく工事すれば、投資額の大半が県外に流出しますが、官民がともに木造建築を推し進めることで林業、木材産業を始め、さまざまな業種の県内企業に出番が回ってきます。  これまで県では、県産木材を使用した木造住宅の建築促進や木造の駐在所や交番の建築に取り組まれてきました。県内の林業、木材産業の関係者は、その効果を実感しております。今後、県産木材の需要をさらに拡大し、県内経済の活力を回復するためには、木造建築の取り組み範囲を公共建築物全般や住宅以外の民間建築物にまで広げる必要があります。中でも、比較的規模が大きく、人の目にとまりやすい場所に整備される公共建築物は、木造建築のモデルとなるよう整備すべきであり、特に県立施設がその先頭に立ち、市町村や民間にも取り組みを促してほしいものであります。昨年末に策定された、しまね県産木材の利用促進に関する基本方針と島根県木材利用率先計画は、その決意をあらわすものと敬意を表します。  この基本方針と計画に基づいて、建築分野でどのような取り組みをされるのか、お伺いをいたします。  設計、建築の関係者に聞くところによりますと、大学の建築学科を始め、建築士を養成する学校で木造建築を教えるところはほとんどないようであります。こうした状況を考えますと、木造建築設計の技術を有する建築士の確保が必要と考えます。  また、建築工事で求められている木材の需給では、納入の時期や材質の点でミスマッチが起きやすいと言われております。供給サイドである林業、木材産業の関係者と需要サイドである設計、建築の関係者が互いに連携して円滑に供給、調達できることが重要であります。木造建築を促進するため、木造設計の技術を有する建築士の確保と木材の円滑な需給のためにどのような取り組みをされるのか伺います。  平成21年12月、国は森林・林業再生プランを策定し、昨年11月には具体的な対策の方向性として、森林、林業の再生に向けた改革の姿を取りまとめました。  これを見ますと、1つ、適切な森林作業を確実に行う仕組みづくり、2つ、低コスト作業の確立、3つ、林業事業体や人材の育成、4つ、国産材の効率的な加工、流通体制づくりと木材利用の拡大という取り組み項目が掲げられております。しかし、国の平成23年度予算や主な施策を見ますと、我が国の森林、林業、木材産業を大きく進展させるような内容になっているとは思えません。また、長期的な展望も読み取れない状況であります。  これまで林業、木材産業における取り組みに大きな転換を求めるような言い方がなされる一方で、何にどう取り組むのか、それを担うのはだれなのか、十分な説明がなされない状況で、対応策や来年度の事業計画の策定に着手できない事業体もあるように聞いております。  我が県では、木を切って使って、再び植えて育てる循環型林業を実現するため、県のリーダーシップのもとで林業、木材産業の関係者が協力し、木材の低コスト生産の条件整備と丸太や製材品の安定供給の仕組みづくりに精力的に取り組んでおります。  国が進めようとする施策、事業は、循環型林業の実現に向けた島根の取り組みの方向性に影響を及ぼすのでしょうか。  現段階で、平成23年度からの国の施策、事業をどのように分析しておられるのか、お伺いをいたします。  以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 9: ◯議長田原正居) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 10: ◯知事溝口善兵衛) 絲原議員の御質問にお答えを申し上げます。  最初の質問は、現政権のコンクリートから人へという理念についてどのように考えているかという御質問であります。  私は、前から言ってることでございますが、コンクリートから人へという政策は、考え方ですね、特に東京など大都市のように経済、社会が相当成熟をして、いろんなインフラ整備なども進み、そういうところにはある程度当てはまる一つの考え方だろうというふうに言っとります。しかし、大都市ではそういうことで、コンクリートは必ずしも必要でなくなったかもしれませんが、コンクリートがまだ不十分であるために経済発展がおくれてきたとか、あるいは大雨、土砂崩れなどの災害が起こってる地方があると、そういうことを忘れないでもらいたいということを言ってきておるわけであります。  確かに、私も東京などに長くおりましたが、通勤などはみんな国電だとか地下鉄だとか、そういうものでしますから、車で行くような人はほとんどいないわけであります。それから、高速道路などもサラリーマンなどはみんな週末とか、連休のときに高速道路を利用するぐらいで、大体そのときは込んでて、むしろ恩恵というよりも余り役に立たないなあと、こういうような印象を持つわけでありまして、集積著しい大都市に住むと、そういう道路網とかの必要性っていうのをふだん余り感じない世界になってるというのが私の実感でもありますね。  しかし、地方に住んでますと、公共交通がないわけでありますし、鉄道だとかはどんどん不便になってきた歴史があるわけでありますし、モータリゼーションが進み、地方ではやはり車っていうことが必要な世界になってるわけでありますから、あるいは水害なども地方ではいつも起こるわけであります。そういう意味におきまして、整備のおくれてるところに配慮をすべきではないかというふうに主張してきております。  島根県と似たような県は幾つかあるわけでありまして、そういうところとも声を上げてきておりますし、国会においてもそういう論議が多々あったと思います。  そういう中で、政権のほうも、この言葉を余り多用しなくおなりになってるような印象を受けます。政権の1年目は大幅な公共事業の削減がありましたけども、2年目となりますとこれ以上の削減は反対だというような国交大臣の御発言なんかもあったかと思いますけども、そんなような状況ではないかと思います。  したがいまして、今後とも島根のように社会資本の整備がおくれてる県等と連携をとりながら、国に働きかけていきたいと思いますし、この点につきましては県内与野党の皆さん、そう大きな違いがあるとは私も感じておりませんので、皆さんとともに一生懸命、国に働きかけをしていきたいというふうに思ってるとこであります。  それから次は、たたら製鉄についての御質問でございます。  議員は、たたら吹きは日本独自の製鉄技術であり、1500年の歴史を持つものであり、斐伊川上流を始め、中国地方で良質の砂鉄がとれたところから、古くから島根が日本の鉄生産の中心地であったと、出雲神話にもたたらに関するものがあるということでございます。まさにそのとおりでございます。議員は、1500年とおっしゃられたわけですけども、あるいはそれよりもっと古いかもしれないわけであります。オロチ退治のスサノオは、オロチのしっぽから草薙の剣を取り出したわけでありますから。  大正になりまして、洋式製鉄の普及により、たたら製鉄が一時途絶えましたが、その後、日本刀の材料として玉鋼を生産するために奥出雲町で復活し、現在にその技術が引き継がれておるということでございます。  そういう意味におきまして、たたら製鉄は古代の銅剣、銅鐸、そして石見銀山の銀と並ぶ銅、銀、鉄、島根が誇るべき歴史文化ではないかと思うところでございまして、そういうものを活用して、地域の資源でありますから、そういうものを掘り起こして、さらに都市の人たちにもよく理解をしてもらって、そういうものを地域おこし、産業振興あるいは観光等に活用していく道を地元の皆さんとともに、我々も努力をしていかなければならないというふうに思うところでございます。  そういう意味におきまして、世界的な価値もあるという御指摘でございます。私も本などで見ますと、たたらっていうのはタタールに語源があるというような説もあるわけであります。タタールというと中央アジアでありますけども、鉄はトルコ半島で最初に始まるわけであります。ヒッタイトという古代の国ですけども、それが西に伝搬してきて中国に伝わり、朝鮮半島に伝わり、それが日本に伝わっておるわけであります。  そういう意味では、奥出雲における鉄の道のさらに壮大な鉄の道が世界の西から東にあるわけでありまして、そういう鉄の道ということで見れば、東端に日本は位置しておるわけであります。そこでたたら製鉄といった世界にも誇るべきような伝統的な生産方法が開発をされ、それが現代まで生きているということには、大変な価値があると思われるわけでありまして、石見銀山もそうでございましたが、地元の人たちは価値があるということで、いろんな資料を集めたり、掘り起こしをされて、それがあのような形になったわけでありまして、地元あるいは各界を動員し、さらにその価値を伝えるような努力をしていく必要があろうというふうに思うとこでございます。  それから、3番目の質問は、林業、木材産業に対する取り組みについてであります。  森林は、いろんな機能を果たしておるのはもう言うまでもありません。CO2の吸収といった世界的な規模において大きな役割を果たしておりますし、また県内におきましては、過去から大きな地域資源として経済面でも大きな役割を果たしておりますが、近年外材の輸入等によりまして、県産材の役割が減退をしてきたわけであります。価格の低落があったわけでありますが、他方で近年、中国を始めとして東アジアの後発国がどんどん成長するようになりまして、食料だけでなく、木材といった伝統的な資源に対する需要も急拡大をしておると、あるいはロシアなどでは資源を保護するために木材輸出を制限をするといったようなことで、世界的な木材需給も長い目で見ますと、きっと締まっていく可能性が高いわけでございまして、そういう意味で国産材の競争力が向上していく可能性もあるわけであります。  さらに、国民の皆さんもこれまでは快適な住まいというと、コンクリートで中が、何ていうんですか、近代化されたような資材でつくられてるっていうようなイメージがあったわけでありますけども、いろんな人工的な素材による弊害なども気づかれるようになっております。これはやはり我々全体が自然というものの持つ大きな力に気づき始めておるわけでありまして、そういう意味におきまして木造住宅等につきましてもいろんな見直しが行われておるところでございます。  そういう意味におきまして、島根の経済、雇用面で木材産業、そして林業は今後とも大きな役割を果たすことが期待をされますし、またそれに向けて我々も支援をしていく必要があるというふうに思います。国自身も、近年は、先ほど申し上げましたような変化の中で、林業の振興というものにかなりの資金を投入するといったことが起こっておるわけでございます。こういう流れの中で、私どもも循環型林業の実現に向けまして、原木の低コストの生産体制の整備、あるいは質の高い木材製品の供給などを促進してまいりたいと思います。また、昨年末にはしまね県産木材の利用促進に関する基本方針等を策定いたしまして、身近な公共建築等で木材の利用が進むように対応しておるところでございます。  今後も、引き続きこうした取り組みによりまして、林業、木材産業を始めとする関連産業全体が活性化するように取り組んでまいりたいと思ってるところであります。以上であります。 11: ◯議長田原正居) 石垣農林水産部長。  〔石垣農林水産部長登壇〕 12: ◯農林水産部長石垣英司) 私からは、林業、木材産業についてのお尋ねにお答えいたします。  まず、しまね県産木材の利用促進に関する基本方針及び島根県木材利用率先計画に基づく取り組みについてのお尋ねであります。  昨年12月に策定いたしましたこの基本方針におきましては、公共建築物における木材利用の意義、先ほど来、知事からも答弁ありました木と触れ合うことによって、そのぬくもりを感じることのほか、森林整備の促進や地域経済へもたらす効果といった意義を明らかにするとともに、その木材利用の目標を示しております。また、こうした県産材の利用促進に向けての県や市町村や民間の事業者の連携や情報収集の取り組みについても定めております。また、率先計画においては、県が整備する公共建築物や土木工事の構造物での木材利用の基準や目標を定めております。例えば2階建て以下で延べ面積が3,000平米以下の県が整備する公共施設については、原則として木造化をするというようなことであります。  この基本方針と率先計画に基づきまして、来年度におきましては県が整備する交番、駐在所、県営住宅の10施設を木造といたしまして、県立学校など4施設については内装の木質化を行うこととしております。  このように県が率先をいたしまして、シンボリック、シンボル性あるいはデモンストレーション効果のあるような施設整備を行うことによって、木のぬくもりなどへの県民の皆さんの理解を深め、ひいては民間建築物への利用の波及効果も期待できるところでございますけれども、さらに効果をより確実なものにしていくために、店舗や福祉施設などの民間のモデル的な施設を木造化することを促進する事業を創設いたしますとともに、従来から行っております県産材を利用した木造住宅の新築、改築、修繕への支援の増額を行うこととしております。さらに、今後県が率先してまいりますのみならず、市町村等に対しましても積極的な木材利用を働きかけて公共建築物、一般の民間の建築物や、さらには県民個人の住宅のすべての分野で利用の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、木造設計の技術を有する建築士の確保についてお答えいたします。  議員からも御指摘ありましたが、木造建築に精通した建築士が実際の木造建築の現場においては少ないというのが実態であると私どもも伺っておるところであります。  そこで、新規の事業といたしまして、一般の住宅を超えるような中型あるいは大型の規模の木造建築等にも対応できるような建築士を育成するために、木材の特性や耐震あるいは耐火性能などについての知識を習得していただくための研修事業を行うこととしております。また、実際に建築士が中型あるいは大型の木造建築の設計を行う場合には、設計費の一部を助成するということもしたいと考えております。  もう一つ、木材のより円滑な需給のための取り組みについてでございます。  今月上旬でございますが、木材業界、設計・建築に携わる方々の関係業界と私ども等の間で意見交換の場を開かせていただきました。その際には、供給側と需要側の双方から木材の規格や品質、単価、数量、在庫状況、こういったものについての一層の情報提供が必要であろう、あるいは木材業界のほうからは、木材の使用方法等について建築士の方々にもっと理解してもらえるよう促していくことが必要であろうと、こういったお声をいただいたところであります。  こうした意見も踏まえまして、今後は県内の各地域において実際に整備をしようとする建築物において県産木材の利用が進むように、木材、設計・建築業界の関係の業界の間での協議の場を設置いたしますとともに、供給側と需要側が情報共有ができる常設的な窓口を設置してまいりたいと考えております。こうしたように、県産木材の円滑な需給が図られるような恒常的な仕組みづくりを今後進めてまいりたいと考えております。  最後に、国の森林・林業関係施策及び事業と県の今後の取り組みについてお答えいたします。  来年度──23年度の国の施策、事業は、木材自給率50%以上を目指す森林・林業再生プランを基本として編成されているところであります。この森林・林業再生プランの具体的内容については、国において昨年来さまざまな議論が重ねられてまいりました。  その中で、幾つか施策、事業の重点が置かれております。1つは、適切な森林経営のための作業の集約化、次に森林経営のプランナー育成、また木材の低コスト生産のための丈夫で簡易な作業道の整備、そして高性能林業機械や作業道開設の技術者の育成、主にこういった幾つかの点にポイントが置かれておりますが、これらは島根県が新たな活性化計画に基づいて現在も取り組んでおります木材生産団地化プロジェクトなどと同じ方向性にあると考えておるところであります。例えば作業の集約化あるいは低コスト生産を進めていくというのが国の方向でありますけれども、私どものほうでは、森林について一定のまとまりを持った森林を木材生産団地として集約をしております。そして、そこに作業道を開設したり、高性能林業機械を導入した間伐を重点的に実施すると、こういったことを進めております。また、人材の育成につきましても、機械オペレーター等の養成を進めておるところでございます。  こうしたことから、県といたしましては、引き続きまして木を切って使って、再び植えて育てる循環型林業の実現に向けまして、今後とも着実な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  なお、国におきましては、引き続きまして各施策の運用などに関して具体的な議論が進められているところでありますが、今後ともその動向を注視してまいりますとともに、私どもの地域の実態に則したものになるように、引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えておるところであります。以上です。 13: ◯議長田原正居) 小林商工労働部長。  〔小林商工労働部長登壇〕 14: ◯商工労働部長小林淳一) 私からは、たたらや銅などの観光資源を生かした広域観光についてお答えいたします。  島根には、御指摘のように銀、銅、鉄の多彩な金属の文化や歴史を伝える観光資源がございます。奥出雲町などのたたら製鉄、石見銀山遺跡、そして青銅器が大量出土いたしました荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡などなどでございます。こうした観光資源を生かして県と県観光連盟等が連携した取り組みを始めることとしております。  1つには、石見銀山遺跡から、たたら製鉄の地にかけての広域連携による約20カ所の旅の案内所をこの3月に設置いたします。また、たたら製鉄を半日程度で体験してもらうツアーをこの2月から3月にかけて実施いたします。また、山陰文化観光圏の事業といたしまして、奥出雲町や鳥取県日野町のたたら製鉄をパンフレットで紹介するなど、鳥取県との連携により広域観光の取り組みも推進してまいります。  また、御案内のように県では今年度から神々の国しまね推進事業を展開してまいります。この取り組みの中で、県内各地域で鉄や青銅器、石見銀山遺跡等を活用したイベントが具体的に検討が進められております。県といたしましては、そのイベントを財政支援するとともに、圏域を超えた観光商品づくりや全国規模のPRなどをしてまいります。  また、たたらや銀を素材として鳥取県や広島県などとの県境をまたいだ広域連携をさらに進めて誘客を推進していく考えでございます。以上でございます。 15: ◯議長田原正居) 西野土木部長。  〔西野土木部長登壇〕 16: ◯土木部長西野賢治) 私のほうからは、道路整備に関しまして3点お答え申し上げます。  県が管理します国道、県道で県境をまたぐ路線につきましての道路の整備状況でございますけれども、こういった路線は34路線ございまして、そのうち県境付近が改良済みとなっている路線につきましては16路線ございます。このうち、幹線道路として位置づけ、優先的に整備を進めている路線については11路線ございまして、1路線を除く10路線が改良済みとなっている状況でございます。  いまだ県境付近が未整備な路線につきましては、地形的に厳しく多大な事業費を要する箇所が大半であることから、隣接県の整備状況や道路の利用状況などを踏まえ、整備効果について十分な検討を行った上で、必要な箇所から1.5車線的改良なども含め、効率的な整備を図ってまいる所存でございます。  次に、雪崩対策についてでございます。  道路に隣接する斜面に雪崩防止林として有効な森林が育成していないなどの原因により、雪崩対策が必要な危険箇所については、道路防災総点検において32カ所確認しており、平成22年度末までに16カ所について雪崩防止さくなどの対策を講じてきました。残る危険箇所につきましても、早期解消に向けて着実に整備を進めてまいりたいと考えております。  一方、雪崩対策の計画がない箇所についても、1メートル以上の積雪がある斜面などを中心に、道路パトロールにより雪崩の発生のおそれがある地点を早期にかつ的確に発見し、除排雪や必要に応じて通行規制を実施するなど、適切な管理に努めてまいります。  今後も冬季における安全で安心な道路交通環境の確保を最優先に考え、気象庁の雪崩注意報の情報などがあった場合には、道路パトロールを強化し、雪崩に対し、十分な備えをとってまいる所存でございます。  最後に、ドライバーへの情報提供についてお答えします。  道路の整備情報につきましては、平素より県のホームページに掲載して公開するとともに、道路地図出版業者あるいはカーナビゲーション関連業者からの詳細な問い合わせに対して、随時情報を提供しております。また、民間のカーナビゲーションシステムに広く利用されてるデジタル地図を作成している財団法人日本デジタル道路地図協会へも毎年整備情報の提供を行っております。  しかしながら、議員御指摘のようにカーナビゲーションや道路地図だけでは情報提供は十分でございませんので、現地での道路標識や看板によるわかりやすい情報提供を心がけており、特に観光地への案内につきましては、現在ルートや表記内容について、市町村と連携して再確認を行っているところでございます。  今後も道路幅員や線形などから決まる走りやすさをあらわした島根県版走りやすさマップを作成し、道の駅などに配布したり、ホームページに掲載することを予定しており、道路管理者として道路利用者の皆様にわかりやすく、的確な情報を提供するよう努めてまいる所存でございます。私のほうからは以上でございます。 17: ◯議長田原正居) 今井教育長。  〔今井教育長登壇〕 18: ◯教育長今井康雄) たたら製鉄の世界遺産登録への準備も含めた情報提供についてのお尋ねでございます。  このたたら製鉄は、日本古来の伝統的な製鉄技術でありまして、島根の歴史を語る上で大変貴重な価値を持った世界に誇れるものと認識をいたしております。このため、古代出雲歴史博物館の現在常設展示で重点展示と位置づけまして、「鉄の炎・島根の鈩」として展示を行っているところであります。また、現在古代文化センターにおきまして、雲南市と共同でたたら製鉄の研究を進めております。ことしの秋にその成果を古代出雲歴史博物館で企画展「たたら製鉄と近代の幕開け」と銘打って公開する予定としております。今後もその価値を県内はもとより、全国に向けて情報発信をしていきたいと考えております。  一方で、世界遺産登録のお尋ねもございましたが、この登録を行うためには、何よりもその顕著な普遍的な価値を証明する必要があるということであります。言いかえますと、このたたらの場合、他県も含めてかなり広範囲な生産が行われております。そういった範囲の指定も含めまして、その文化的な価値を世界的に認めてもらう、そのための証明をする必要があるということが1つございます。それから、世界遺産の対象となります遺跡、建築物、文化的景観、これらが例えば史跡の指定を受けるなど、国内法であります文化財保護法によって保護されているということも必要でございます。  こういったことが必要でありますが、今の世界遺産の登録の状況を見ますと、実は日本から推薦されたものは石見銀山以来ございません。例えば岩手県の平泉、これも候補となりましたが、登録延期となってるという状況でございます。現在、ちなみに世界遺産、日本から出されたもの14件、登録がされておりますが、その予備軍であります日本で暫定リストというのがつくられておりますが、それに登載されているものも同じく14件ということでございます。このように世界遺産の登録に当たりましては、現在さまざまな課題があるということも事実でございます。そういった中で、現在奥出雲町では、たたら製鉄が残した文化的景観につきまして、国の重要文化的景観の選定を目指した取り組みを進めておられます。  今後は、たたらに関する調査研究を積み重ねる中で、今申し上げましたような文化財保護法に基づく保護措置に向けての取り組み、こういったことを着実に進めていくことが大切であろうというふうに考えております。県といたしましても、関係の市町村と連携、協力をして取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。 19: ◯議長田原正居) これをもって一般質問を終了します。  以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は2月24日に第1会議室で一問一答質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。        午前11時46分散会 発言が指定されていません。 島根県議会本文の先頭へ...